弊社サイトでは「オイルは目視で劣化具合を計るのは不可能」
と、書いており、サイトを御覧になった方々から、
「じゃあどうやって劣化具合を判断するんだ?」

と言う御質問を受ける事が多々ありますが結論から申しますと

分析機器を使わずに交換時期を判断するのは不可能です。

巷でオイルゲージに付着したオイルを見て

「ア〜汚れていますねぇ。そろそろ交換ですよ」
とやっているアレですが全く科学的根拠はありません。

そんな事で劣化具合は解りません。
読者の方やモニターの方にもあの検知方法が適切だと思われている方が多いと思います。
それを『あんなの信じちゃ駄目ですよ』と異を唱えて
事を荒げる必要は無いかと思いましたが
最近はあまりにも頻繁にスタンドやカーショップなどでオイル点検させて下さい。
と詰め寄り、間違った意見を当然のように吹聴するのは如何な物かと思い
この話で取り上げさせて頂きました。

黒い=汚れている。これは間違いではありません(表現としては不適切です)
汚れている=もう使えない。寿命が来た。と言うのが間違いです。
オイルが黒くなるのは主にカーボン・スラッジ等が油中に分散しているのが原因です。
カーボンとは燃焼に伴って発生する煤(スス)で黒く高硬度な超微粉末です。
これは燃焼によって必ず生成され発生を完全に止める事は残念ながら出来ません。
超高熱で完全燃焼すれば減少させる事は可能ですが金属では融解する温度になりますし
セラミックエンジン等でなければ無理な領域ですが私が知る限り実用化に
成功したと言う話は未だ聞いていません。

まず、オイルが黒くなるのはカーボンが常時発生して油中に混入するから当然です。
カーボンと言う物は炭素ですから科学的に非常に安定しており
酸・アルカリで溶かす事は出来ません。
オマケにメチャクチャ硬いと言うなかなか厄介な物です。
それが凝集して大きな固まりに成ったり他の劣化分子と結合して
スラッジなどに成ったりする事を防ぐ為に不活性化させる物が清浄分散剤です。
清浄分散剤に限らず油中のあらゆる成分は当然使うと変質・変性します。

この変質・変性が著しく進行した時点で寿命と言う事になるのですが
これは目視で確認出来る物ではありません。人間の目と記憶というのは極めて曖昧で
極端な変化がなければ解らない物です。
キラキラ鉄粉混じりのオイルが出たりヘドロが混ざったようなドロドロのオイルが
出ない限り、新油時と何が違う?と問われても
「色は黒いけど粘度はこんなモンだっけ?臭いはこんな感じかな?
手触りはこんな物か?そんな気もするけど違う気もする・・」になると思います。
見た目で解る程粘度が変化していればオイルに燃料・冷却水等が
混入している恐れがあります。これは由々しき事態ですので早急に整備を受けて下さい。

オイルをドレンから抜いて箱に受けて凝視しても解らないのにゲージに付着している
オイルを拭き取って「こりゃヤバ過ぎですよ。車壊れますよぉ。すぐ交換しなきゃ!」と
騒ぎ立てる小遣い稼ぎに必死な守銭奴には喝と同時に蹴りでもお見舞いしてやりましょう。

事項以降でオイルの交換サイクルについてお話しさせていただきます。