さて、前回では故障した車に添加剤を入れて
不都合が起きても自己責任になってしまうと書きました。
これは添加剤の本来の使用目的を逸脱した使い方で
物理的損傷は交換修理しか無いというのが前回の話でした。

通常の車(使用に支障が出る物理的損壊の無い状態)
添加剤を入れたら焼き付いた・オイルがダダ漏れになった・その他諸々。
当然これらは製造物責任法(PL法)適応が可能で
製造側へ責任の追及が可能ですが正しい責任の追及と言うのを
知らない方が殆どだと思うのでそれを御説明させて頂きます。

まず、全ての製品は其れが不良品で其れに因り招いた損害は製造者が責を負う。
と言う大前提があります。(起きた問題と製品の因果関係の立証が必要)

因果関係の確立が重要と言うのがネックで皆さんは
『そんな事解ってるけど素人で因果関係の究明なんて無理だ。』
と思われるでしょうが、これの究明はユーザーの責務です。
(PL法で製品と被害の因果関係の立証は消費者が行うと定義されている)

稀に『不都合が起きても製品代以上の金は払わん』と
言う意味の注意書きが明記した製品も有りますがあれは全く無効です。
そんな物で逃れられる程PL法はザル法ではありません。

以上の件を踏まえて、
1 物が不良品、或いは嘘八百の製品だった。
2 自分の使用法に何の落ち度も無い(適正使用を行った)
3 使用する前の車輌は何の問題も無かった(これを立証する必要有り)

上の項目が全てクリア出来る場合、胸を張って責任の追及を行って下さい。

長い前説でしたが此処から正しい責任追及の説明です。

私も独立する以前にクレーム処理をした経験があり
相手を脅そうとヤクザ顔負けに語尾を荒げて感情的に喚き散らしたり
色々な言い分を駆使して何とか要求を呑む様に画策する方が多いのですが
企業は個人で運営している訳では無いので 製造物と故障との因果関係が無ければ
全く事後処理の行動を執る事が出来ません。

これは然るべき手順を執らないと保険会社が承認しない為で
幾ら販売担当を困らせても、その担当が泣こうが死のうが
保険会社は全く無関心で、お前の身上話なんぞ興味無い。
それより事象を報告しろ。それがお前の役目だ。この抜け作め!
と我々を一蹴するのも保険会社の仕事です。

上記のような間違った異議申し立てをする方は非常に多く、
企業側にも対応ノウハウがあり
(眉唾品を売る会社程この手のノウハウ確立に余念が無い)
あ〜ぁ。ギャ〜ギャ〜五月蠅い奴だな。
説得力が無い屁理屈ばかりでド素人丸出しだから
一発理詰めで煙に巻いてやろう。とか、
何の根拠も無いクセにこっちの時間ばかり取らせやがって、コリャ営業妨害だな。 
さて、出番ですよ先生殿(顧問弁護士)
となり形勢が極めて不利な状況になっていきます。

クレーム対応という物は使用者が正当な使用法をしていれば
正規の補償制度に従えば良いだけの話で
通常は極めて短時間で処理が遂行出来ます。
しかしそれが出来ない理由を隠している人は当然自己の正当性を主張する為に
話を捏造するので、つじつまが合わなくなり内容が二転三転し、
結局何をどうして欲しいのか?と言う事も明確に言えず
※本人に非があるのを自覚しているから露骨に要求出来ない。
子供が既に発覚している悪戯を必死に隠しているような感じになります。

逆に話に筋が通った方の場合は此方の処理も迅速に進める事が
出来るので揉める事も殆どありません。

ちなみに保険適応を要望すると専門のプロが調査に乗り出すので
虚偽・整備工場と結託しての状況捏造等は100%発覚して
結局保険不適応となって自分の首を絞める事になりますので
賢明な読者の方は絶対に避けるべきです。

眉唾品を売っていると自覚している会社は調査すると
自分の非を白日の下に晒す事になるので調査をせずに
ユーザーの要求が通ったりしますが
商品に自信を持っている会社は必ず調査します。

知り合いの整備工場と結託して云々という話も聞きますが
整備士は整備のプロで潤滑のプロでは無い為、敵う筈も無く
(この辺は次号以降で説明します)
結局徒労に終わって詐欺の片棒を担がせる事になります。

調査のプロと名乗る以上、潤滑の知識は勿論、
不正を見逃しては存在意義が危ぶまれる訳ですから
付け焼き刃な考えは逆に突っ込まれて不利になるだけです。

普通に使えば不具合も出ず、仮に不都合が出ても
保証を受けられるのにケチって規定量以下で使用したり
不正な使用(壊れた車に使用した等)をして不具合が発生して
その事実を隠蔽する為に四苦八苦して駆けずり回っても
結局不正が発覚して保証は受けられず
車もパーと言うのは正に骨折り損です。

下手な事をしなければ保険が降りたのに・・。
と言う話を聞く度に私はプロの有能さを思い知りました。
幸い、今の事業では購入された方は適正使用をされて居るようで
上記の事象は起こって居ません。

○の添加で○部の故障との因果関係が立証された。
よって、正当な対処を求める。
と言う物で有れば我々もその旨を保険会社へ通達して
初めてスムーズに然るべき処置を執る事が可能なのです。

さて、皆様も添加剤に興味がある方ばかりと思うので
以下の事は必ず留意して頂くようお願い申し上げます。

1 物理的損壊の修復を主目的として添加剤を使うべきではない。
  (添加剤は保全が目的であり修復・修繕は副次的産物である)

2 異常が発生した時は直ちに因果関係の究明
  及び販売メーカーへ通達を行う。
  (時期が遅れる程究明が難しく対応が困難になる)

3 メーカーに事象の通達をする時は感情的にならず
  正直且つ具体的に説明する。

相手は日常的に幾多の狡猾な相手と交渉している
その道のプロ(潤滑・交渉・状況分析・その他法律知識も有る)
で矛盾が生じると余計に事態が混迷し隠匿工作・虚言等は後で自分が苦労するので絶対に避けるべき。

さて、今回は実例があったので具体的?に説明出来ましたが
金を払って不具合を被って泣き寝入り。という情けない事は
このメルマガを読んで居られる方には避けて頂きたいと思い
執筆させて頂きました。

この手の補償云々を書くと、有事の時に補償金を払い渋る策か?
と勘ぐりされますが我々製造販売業者は補償金を自腹で出す訳では無く
正当な主張をする方には相応の金額を払うのが損害保険です。

ただ、適正利用をすれば壊れる事は有り得ず、その結果保険費用は
毎年保険会社の懐を暖める金に換わっているのが何とも忌々しい限りですが
保険会社の方に言わせると『微々たる金で毎日毎日、無茶苦茶な理由の
クレームを処理する身になって見ろ。お気楽な事言いやがって』と言われます。
まぁ何も問題が無いという事は幸せな事で喜ばしい事ですけどね。