今回は『自己責任と責任追及』という題で
話を進めさせて頂きます。

題からも解るように2部構成になっております。
1部は自己責任を取り上げ
2部で責任追及を取り上げさせて頂きます。
最初は1部構成で書いていたのですが長文化し
2部に分けさせて頂きました。

さて、自己責任についてですが
この問題は今でも多くのメーカーがモゴモゴと口ごもりがちな題ですが
ユーザーが最も重要視する点ではないでしょうか?

さて、読者の方からガソリンスタンドで
ATFを交換したらミッションが滑るようになった。
添加剤で安く治らないか?と言う内容のメールを頂きました。

車の調子が悪い。と言う問題は極めて多くの要因が有るのですが

1 部品交換が必要な場合(内外からの衝撃に因る部品の損壊・
  部品の過度の摩耗・異物混入による不具合)

2 因子を除けば修復可能な場合(スラッジ・ガム・カーボンの堆積等
  に因る各部の正常運動の阻害)

と極めて大別すれば2つに分けられます。
要するに修理が必要な場合と添加剤で治る場合という物です。

修復目的で添加剤を使う。と言う場合は
不調の要因が何か?部品交換が必要なのか?
と言う事を識別しなければなりません。

この場合は1が該当する為と後述する理由から私の回答は

『添加剤の本来の使用目的から外れるので
貴方のケースではアドバイス出来ません。添加剤では恐らく治りません。
即刻整備した店に事情の説明・責任の追及・処置の要望をする事』です。

まず、不都合が見つかった際に自分で勝手に手を加える。
これは事態をユーザーが容認した事になり、その時点で全責任を負う事になります。
勿論整備士・整備工場への責任追及の道は潰えます。
アドバイス出来ないと言うのはこの点です。
添加剤では治らない可能性が大きく、責任追及が可能なのに
自らその道を閉ざす事は賢明ではありません。

今でも、添加剤に関しては全てに於いて自己責任が原則。
と訳知り顔で言う方が非常に多いのですがこれは少し解釈が違います。
全てに於いて自己責任!等と宣う物など一般市場で認められる訳がありません。
全ての商品は厳しく品質を問われ代価に値する価値が無ければ
苛烈な処置を執られて然るべき物です。しかし添加剤に於いては
何故か自己責任等と逃げ口上をユーザー側が用意したのです。

誤解の無いように申しておきますが全ての添加剤メーカーは
製造物に関わる責任から逃れる意味で自己責任等という発言をした事はありませんし
そんな発言をすれば大問題になります。

皆さんが認知している自己責任という言葉は
ユーザー側が創り勝手に適応しているに過ぎないのです。
こう書くと、『何だ此奴は?横柄な態度だな!』と思われるのですが
『この製品が原因で起きた損傷・損害について弊社は一切関知・保証しません。
全て自己責任に於いて使用して下さい。』等と書いてある製品を
誰が愛車に投入するでしょうか?可笑しいですね?

この自己責任と言う言葉は
適正利用をせず勝手にアレンジした使用をすると
製造側では責任を負わないので自己責任で行って下さい。
と言う物と 性能テストを行う為に苛烈な環境下で行った
行為をユーザー側が独自にしても責任は負えないと言う物で
あり、決して効果が無くても、或いは何らかの支障が出ても自己責任。
と言う意味合いで使用しているのではありません。

これがどう間違ったのか、例え効果が無くても・支障が出ても
自己責任。と何故か曲解されて今に至る訳で
メーカー側も有難い曲解ですから別に是正する訳でも無く
逆に利用して眉唾物を売りつけてやれ!と言うクズ業者まで出てきました。

しかし最初の話のような場合に独断で添加剤を投入したが
全く改善が見られない。これは自己責任になります。
これは『不具合が出ている車両に使用した』と言う事自体が適正利用から外れています。
どんな添加剤も 『壊れた車に使用して下さい』等とは書いてありません。
アホか?と思われるかもしれませんが、これがなかなか馬鹿には出来ない話で
壊れた部分を修復するのが添加剤。 と思って居られる方が結構居られるのです。

添加剤は魔法の液や粉じゃないですから
物理的に壊れてしまった物は交換しか根本的解決はありません。
それ以上の損害を防止するという作用はありますが
それを曲解して騙し騙し使うと言うのは修繕でも何でもありません。

しかし、自分でも壊れていると確信しているが何とか安く・
お手軽に修繕したい。と願う切迫した心理状況だと
『ブッ壊れた物でも修繕可能?』と誤解しかねない物が有り
平常時には『そんな馬鹿な話有るか!』と一蹴されそうな物でも
ケツに火がついた状態だと、無責任でデタラメな記載の方が
物理法則を超越した神の摂理を具現出来る至極の逸品に見える訳です。
しかし、そんな夢物語は有る訳も無く淡い期待は打ち砕かれる事になり
有事の時こそ冷静に判断しないと余計に無駄金を使う事になります。

機械は生体と違い自己修復機能は有りません。
物理的損壊→交換しか根本的解決はありません。
だから壊れる前の保全管理が大事なのです。

これとは別に通常の状態の車に添加剤を入れたら車が焼き付いた。
これは製造物責任法(PL法)適応が可能で
当然、製造側へ責任の追及が可能です。(詳細は次号で)

さて、第一部はここまでとさせて頂きます。