さて、PTFE後編その2です。

PTFE系の製品で解せないのは添加する前に良く振れと言う点及び
入れたら直ぐに○○キロ以上走れ!と言う説明です。
振らないと分散しない低い分散性はオイル添加剤として論外です。

逆に親和性が高いとも言えますが分散しないと各部に供給出来ません。
だから良く振って沈む前に定着させる為にサッサと走れ!
と言う事ですが豪快と言うか乱暴というか・・。

PTFE自体が殆どの物質に付着しない性質と科学的に立証されているのに
定着するまで走れと宣う超常理論。作用原理云々レベルでは無さそうですね。

それでも実際に効果が有ると言う方が居るのだから
私には窺い知る事も出来ない崇高な何かが有るのでしょう。

PTFEは確かに優れた潤滑剤だから添加すれば何らかの効果は有るでしょう。
しかし、オイルに添加する方法は偶発的な要因に頼らざるを得ず
微細化やその他諸々の処方もその偶発的要因の発生率を高めるだけの
処置でしかない訳です。(所詮は偶然の産物=いい加減だと言う事)
高い金を出すのに確実な作用を望めない。とは如何な物でしょう?

それと文献にあるように『PTFEは殆どの物質に付着しない』とあります。
そのままでは付着しないから焼き付けたり面倒な処理が必要な訳です。
殆ど付着しないが僅かには付着するとでも言うのでしょうか?
キナ臭い話ですね。

それと下記は私が以前PTFE添加剤の代表とも言えるメーカーに
顧客からの要望で代弁した時の記録です。
内容を見てもらえば解りますが顧客側は修理やその他諸々の
維持費の削減、保守管理に重点を置いています。
これは弊社のマッハ1適用にピタリ一致するのですが
何処の企業でも求める事であり、頭を抱えている問題でもあります。
経費を抑える事が出来れば何処の企業も喜ぶ訳ですが、
その要望にPTFE系添加剤は応えられないのでは無いか?

と私は申したのですが良いネタが拾えるかも知れないし
良い機会だから相手を突き回してやれ。
と言う顧客の有難い申し出に乗り代弁する事にしました。

私  
弊社は運送業で業務上複数の車両保持に依り発生する
車両管理費用及び手間の削減を目的とした製品の
採用を検討しているのですが御社の製品でそれは可能ですか?

相手 
御社のように多量に車両保有及び運送業のように
短期間で長距離走行を行う業務には弊社製品を
用いるメリットは無いと思いますよ。

私  
それでは、御社はどのような顧客をターゲットにしているのですか?
顧客は御社製品の使用により享受できるメリットは何ですか?
   
相手 
弊社では主に個人ユーザー様を主な顧客として展開しており
車両の出力アップを望まれる御客様が主です。

私  
御社製品に明記してある各部の保護云々という点は今までの
話を伺う限りでは目を見張る程の効果は期待出来ないという事ですか?
効果が在るのならば先ほど申した要求を
解消できると思うので弊社でも採用を検討したいのですが。

相手 
効果が無いと言う事ではなく、コスト対効果という点で
御社の業務には適性では無いと御理解下さい。

私 
成る程、コスト対効果が悪くては確かに業務使用はできませんね。

相手 
あくまでも個人的用途に限る製品ですので突出した性能の
要求を満たす事は出来ないと思われます。

私  

お忙しい処、対応して頂き有難うございました。

大量購入する予定で積極的に採用を検討している姿勢を見せるという
非常に美味しい状況を示しても食い付いてこない点を考慮すると
本当に価格対効果が薄いと言うのが正直な処でしょう。

まぁ使用方法を考えると予想通りの展開でしたが
ここまで正直な対応をした担当の方には好感が持てました。
正直な方なのか対企業の事後処理を考慮した対応なのか解りませんが
情けない事に添加剤市場で一番欠けている物は、正直・誠実と言う事です。

しかし、逆読みすると個人客なら効果対費用のバランスが悪くても問題無い。
と言う事になり、素人が車遊びに興じる為の製品だから適当に創ってます。
と言う印象を受けるのですが業務使用に耐えない点を考慮すれば
当たらずとも遠からずと言った処でしょうか。


余談ですがPTFE系添加剤を推しているサイトで
『某ページで添加剤について色々考察を書いている
サイトがあるが只の本の丸写しだ!あんな物信頼に値しない。』
と叩いて居ます。

その業者サイトでは、件のサイトは膨大な文章量で競合他社製品を
巧みに批判して自社取り扱い製品を巧妙に薦めているとあります。

まぁ、実際その通りですが私はその槍玉に挙がっている
サイトの戦略的な作りには感心しています。

実際、『へ〜このサイトは役に立つなぁ』と納得させる筆運びで
以上の件を踏まえてこれは如何ですか?と言う感じで
ササッと自社製品を薦める流れが策士ですね。
確かに微妙に内容を曲解している点もありますが
サイトを見ているユーザーには恐らく解らないし
気にも留めないでしょう。

PTFE自体は決して悪い物では無く
現在の潤滑の場に於いて必要不可欠な物でもあります。
ただ、適材適所と言うように漠然と入れれば勝手に作用してくれる
と言う成分ではありませんし微細処理だの何だのと
工夫している点は確かに認めますが
ただ、その処方で性能を100%発揮出来るか?と言えば
もう2〜3工夫が必要だと私は思います。

一時は一回の使用量で7千〜1万円以上と
呆れ果てた価格で売られていたPTFE系添加剤も
一回の使用量が数百円で済むと言う適正な価格で販売する所も有ります。
(PTFE自体の価格を考えれば適正と言える)

PTFE系添加剤の是非はともかく、適正価格と言う概念が
添加剤市場で出て来たというのは評価出来る事ですね。

昨今ではPTFEを油中に長時間分散させる事が技術的に可能になり
これによりPTFEの優れた特性を享受出来る場が広がったという
事は素直に賞賛出来る事で、今までは出来なかったというような
今までの常識が覆るのがこの業界の面白い処です。