今回もダラダラとオイル・添加剤について
の考察をお届けします。


前回ではZnDTPの長所について述べさせて頂きました。
ZnDTPは腐食防止・摩耗防止など
複合的な効能を持ち、エンジンオイルに大変有用だと
書いて終わりました。
しかし、何でも一長一短が有る訳で
今回はその短所の方を述べさせて頂きます。

まず、ZnDTPは添加剤としての機能を果たした後に、
油に不溶な物質に変化しスラッジ化します。

これは成分に金属イオン(亜鉛、Zn)を含んでいる為です。
このため清浄剤や無灰分散剤を添加してスラッジを
可溶化させるという手段がとられます。

しかし、そうすると今度は、水分混入時の酸化安定性が低下し
更にそれら添加剤自体が長時間使用されることにより
スラッジ化するというマイナス効果が発生します。

スラッジを可溶化させる為に添加した物が
スラッジになってしまう・・・。
このように堂々巡りのように問題が噴出するのですが
これをコスト・性能の両面を高次元で両立させる為に
メーカー各社が日々研究している訳です。
(この辺が企業秘密となります)

更に、成分中にリンを含むので、ガソリンエンジンの
排出ガス浄化に用いられる三元触媒に対して
触媒被毒の作用を持っております。

これも防がなければなりません。営業車が長年使っている間に
暴走族顔負けの排気音になっては営業に使えません。
当然ですが触媒が犯された車は車検に合格する事も出来ません。
有害ガスと爆音を撒き散らしながら走行する行為は
環境云々と喧しく言われている昨今の時流に逆らう形になりますし
それを良しとする価値観をお持ちの方は少数でしょう。

この為、排ガス浄化触媒の劣化を抑制する為
低リン化、低硫黄化、すなわちZnDTPを減量する必要があります。
この不足する性能を、非リン系(低硫黄)酸化防止剤及び
摩耗防止剤で補う必要が出てくる訳です。
此処が技術の見せ処でライバル社と差別化を図る重要な点の為
詳細は最重要機密事項に相当する処です。

無論、そんな面倒な対策を施さずに
性能向上だけを謳う粗悪品も多いので注意が必要です。

以前のメルマガにも書きましたが、車という物は
なかなか頑丈に出来ており、多少の事では
すぐに壊れて動かなくなると言う事は有りません。

更に、消費者の側にも『オイル添加剤はエンジンの
中だけに作用する物。』と言う考え方が浸透しています。

基本的な話ですがエンジンは内部で燃焼させる機関です。
燃焼させれば熱・ガス・煤(カーボン)が発生します。
それに伴い化学物質を多量に含有したエンジンオイルと
上記の物が関与して様々な化学反応を起こします。

当然、エンジンオイルはその化学反応を考慮して
製造してあるのですが上記のように性能向上しか
考慮していない得体の知れない添加剤を添加すると
エンジン内で何が発生するのか解らないと言う事になり
結果的に恐ろしく短い間しか効能が持続しなかったり
エンジン内だけではなく触媒等の排気系統にまで
深刻なダメージを及ぼしたりする訳です。

現在では車を使用する以上、
ただ、快適に走れば良い。と言うように
自分の都合だけ考えれば良い時代では無く
他の人や環境に極力影響を及ぼさないように配慮することが
求められる時代です。

ユーザーの皆様も 燃費が良くなる・
馬力・吹け上がりが向上する。と言う今までの
要求だけでなく、環境の為に・・・と
違う視点でオイル添加剤を選んで頂く事も
必要になってきたと言う訳です。