前号では適正利用法では無いので
当然、保証無し。
しかし、使った方の殆どが
体感効果と費用対効果の両面で
満足出来ると言う添加剤の鏡とも言うべき
ニトロについてお話しさせて頂きました。

前号をサイトにアップしてから
読者のから『サイトを見てニトロ入れましたよ』と言う
メールを頂きました。

その方曰く、やはり市販の添加剤には無い
劇的なパワーアップが計れて
普段よりアクセルを軽く踏むだけで
上り坂もスイスイ・以前は初動が重くて
有る程度ゆとりを持って交差点を右左折していたが
初動が早くなったので以前なら無理だった
タイミングで右左折が出来るようになったとの事です。

確かにニトロの効果は有るようです。

有るようです。と他人事のように書くと
情報を提供した自分はニトロを添加していないのかよ。
このヘタレめ!
と、突っ込まれそうですが実際その通りで返す刀もありません。

私のようなヘタレだけではなく
効果があるのは結構だが、何の補償もなく
どうなっても自己責任だ!と言う
極端な物は余り・・・と言う方も
当然居られる訳です。

もっとマイルドで効果がある物も当然ありますし
実は
皆様が知らないうちに勝手に使用しているのです。

それがサルファフリー燃料です。

サルファフリー燃料とは
硫黄の含有量を減らした燃料だと言う事は
皆様も御承知だと思います。

何でそんな物が添加剤と関係有るんだ?
只の燃料だろ!と思われるでしょうが
これが、なかなか結構な代物なのです。

硫黄等の低減化は燃料に限らず、
オイルに関しても環境保全を考慮して
低硫黄・低亜鉛・その他諸々環境に影響を
及ぼす成分は削減していく方向にあります。

何で硫黄を取り除く必要があるのか?

これは今更説明するまでもなく
大気中に排出された硫黄が大気を汚染し
酸性雨と成り土壌を汚染する要因になる訳で
これを削減し環境に優しい商品だとして売られています。

サルファフリー燃料を使う事により
硫黄酸化物(SOx)窒素酸化物(NOx)粒子状物質(SPM)
の発生を大幅に抑制しこれらを削減するDPFと言う
機構の耐久性が向上する事が明らかになっています。
更に新型エンジンの燃費性能を最大限引き出すことが可能となり
燃費の向上も認められます。

では逆に、何で今まで有害な硫黄が含有されていたのか?
と言う疑問が出る事になりますが硫黄を削減すると、
燃料自体の潤滑性能の低下が起こります。
何故、硫黄を除去すると潤滑性が低下するのかと言う事は
未だに諸説があり良く解らないようです。

更に、サルファフリー化させる為には
既存の製造設備に膨大な費用を掛けて改造を加えたり
新たに施設を新設する必要があります。

勿論、一つの給油所だけでサルファフリー燃料を
供給する訳ではなく全国規模で供給する訳ですので
設備投資にも膨大な費用がかかり
数千億円の設備投資及び現在もその維持に
多額の費用が投じられています。

昔のように
ギャーギャーと環境云々と叫ばれない時には
費用対効果の面で採算が合わなかったと言うのが
正直な処ではないでしょうか。


まぁ、原因はさておき、潤滑性が低下するこの問題ですが
ディーゼルエンジンの燃料噴射ポンプ・
噴射ノズルは燃料の軽油で部品間の潤滑を行っております。
この為、潤滑性能が低下すると燃料噴射ポンプやノズルが
摩耗し如実に性能が低下します。

一部の読者の方からディーゼルエンジンの燃料に
灯油を使っていると言う意見を伺いましたが
灯油と軽油は引火点等が殆ど変わらないので
ディーゼルエンジンに入れても普通に動くのですが
灯油は潤滑性能が軽油に比べて低く、各部の摩耗が進行します。

この為、長期的に見るとトラブルの原因になります。
そして、税法上の問題で公道使用すると脱税行為となり
処罰の対象になるので止めた方が無難です。

まぁ、灯油を燃料にして罰則を受ける事は稀ですが、
エンジンが壊れると、ディーゼルの場合修理費が高くなり
素直に軽油を使う方が安く上がりそうですしね。

ガソリンや軽油は潤滑性が有る為、
燃料の中に浸しておけば常時潤滑油が供給される事になります。
これで外部から潤滑油を供給する必要も無くなり
ポンプの放熱も兼ねて一石二鳥という事です。

このように燃料は燃やすだけでは無く
潤滑にも重要な役目を果たしている訳ですが
前述したとおり硫黄を除去すると何故か
この潤滑性能が低下してしまいます。

この問題は1990年代に環境先進国で
ディーゼルエンジンからの排出ガス削減の為
燃料中の硫黄分低減を積極的に進めた結果
前述したように噴射ノズルの摩耗や噴射性能の
急激な劣化が報告されました。

よく言われる硫黄分10PPM以下と言うふれこみですが
資料によると10数年前の200分の1の数値だそうです。

例として
欧州で軽油の硫黄分を500ppmに低減した際に、
潤滑性能の低下に伴うトラブル発生が報告され、
潤滑性向上剤という添加剤の使用が開始されました。

硫黄分500ppmと言えば単純計算で今の50倍ですね。
それで問題が発生したのに今は10ppmです。

しかし、サルファフリー燃料が原因で車が壊れる
と言う事になれば
諸外国に散々ケツを叩かれながら膨大な費用を投じて
開発しても普及する訳有りません。

その為に使われているのが、潤滑性向上剤という物です。
これは効き目がパッとしない為、入れても体感的な
効果は薄く、前号でご紹介したニトロ愛好家の
方に言わせると、正に腰砕けで添加剤と言うのも憚られる。
と罵られそうな物ですが本来添加剤という物は
機械の保全に使う事も主目的の一つです。

添加剤と聞くと、ユーザー心理として
異常な程、刺激的なPR戦略の御陰で
目が覚めるような激的な変動を与える物ばかりを
求めがちですが
機械が壊れる事を未然に防ぐと言う働きが
激的な変動を享受する事と同等に
重要であると言う事も
理解して頂けましたでしょうか?

まるで、保全を前面に押し出す商品を
取り扱っている我々の巧妙なPR戦略のように
なりましたが、それではごきげんよう。