前回では、ディーゼル車の排ガス規制は自業自得だ。
しかし、自業自得と切り捨てても何の解決にも成らないし
行政は締め付けるだけで建設的な対策は講じていないのか?
と言う話でした。

ネットでも石原都知事は、大して効果の無い排ガス除去装置を
ユーザーに押し売りして利潤を漁っているクソ馬鹿野郎だ。
と辛辣な意見を目にします。

まぁ、排ガス規制に適合しない車輌は車検を受けさせない。
と言う強硬な姿勢を見ると、規制の裏に利権有り。
と言う意図を感じずには居られません。

ここで、いやぁ、都知事は立派な方ですよ。環境の事も考えて
色々頑張って居られるじゃ有りませんか。等と擁護したら
何だ?お前も利潤を貪っている守銭奴か?このクソ野郎!
と、罵られそうですが、それはさておき、本題に入りましょう。

東京都のサイトを見てみると、環境汚染の原因の大半を自動車が占め
その中でもディーゼル車の比率が非常に大きいと有ります。

まぁ、その通りですのでこの辺は何も異論はありません。

しかし、前項でも触れましたが、この表現はディーゼル車が
欠陥だらけで、大気汚染の元凶のように扱われ
こんな旧世代の遺物はさっさと駆逐してしまえ。と
言わんばかりの偏った見方では無いでしょうか?

ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて以下のような利点があります。

燃焼効率が高い
二酸化炭素の排出が少ない
部品点数が少ないので壊れ難く、耐久性が高い

ただ、欠点は御承知のように
窒素酸化物や粒子状物質の排出が多いという点です。
燃料である軽油が安いという点は、政策上の優遇措置で
外国ではガソリンと値段が変わらない場合も多々あります。

まぁ、現実問題としてバスやトラック等の産業用車輌として
広く使用されているのは優れた点が有るからの裏付けですし
自動車業界等も、活発にディーゼルエンジンの改良・改善策を
練っている点を考慮すれば、未だ活躍の場を失う物では無い事が解ります。

以前、少し触れたサルファーフリー燃料の供給は
法律上では、ガソリンは2008年、軽油は2007年が適当とされていましたが、
今回、石油連盟各社の努力により、
審議会の示した時期よりも2〜3年前倒し出来るようになりました。

しかし、サルファーフリー燃料の全面供給だけでは
大気環境基準をクリアする事は困難であり、更なる対策として
資料によると二酸化炭素削減による地球環境保全・
有限である資源エネルギーの有効活用から
国内では燃費の規制も制定されているようです。

その内容はガソリン自動車で2010年に1995年に比べて21.4%
ディーゼルエンジンでは2005年に
95年比で13.1%の向上が義務付けられています。

目指すのではなく義務付けられているという点が着目するべき処ですね。
それをクリアする為に、希薄燃焼エンジンや直接噴射エンジン、
電子制御燃料噴射装置等の高出力化が広く知られている訳ですが
摩擦を減らしてエネルギーロスを抑えると言う見地も大きな要点です。

ピストンやクランク等の流体潤滑領域では部品間に潤滑油による油膜が介在して
部品同士が何処も接触していないから摩擦なんて起こりえない。
と思われるかも知れませんが、油膜のせん断力により摩擦が発生します。

用語解説 せん断
ある物質内の任意の平行面に関して、
それぞれの面に反対方向に力を作用させた場合に発生する変形。
具体的には、四角いものを平行四辺形に変形させる力のかけ方。
はさみでものをきる場合に2つの刃はすれちがうわけで、
切られる材料は違った方向に 変形させられる力によって壊される。

これを避ける為には低粘度オイルを使用する事が有効で
低粘度オイルでエンジンの回転が軽くなる・燃費が良くなる。
即ち高出力化、低燃費が実現しやすいという事です

しかし、低粘度オイルは平たく言うと簡単にせん断力に負けるので
高粘度オイルに比べて油膜の厚さを保つのが難しくなります。
それに従い、部品の摩耗増加や焼き付き発生のリスクも有る為
それに対する対応策も求められます。

その為、粘度に関係なく各部の保護を行う為に油性向上剤と言う物が使われます。

また、ピストンリングやカム等は境界潤滑が起こるので
境界潤滑下では油膜が完全に排除される為、せん断力に依る
抵抗は小さくなりますが部品同士が接触するので焼き付きや
部品の摩耗に対して策を練らなければ成りません。

その為、以前出てきた固体潤滑剤に因る皮膜処理を施したり
材質自体に低摩擦素材を採用する等が有ります。
勿論、素人仕事では許される訳も無いので
部品毎に適正な作業を施す事が重要です。

次回では、具体的に各部品でどのような処理が行われているかをお話しします