今回から数回にわたりエンジンオイルについて
お話しさせて頂きます。

弊社宛のメールにも
弊社で販売している添加剤を使用する際に
鉱物油に添加しても大丈夫ですか?
化学合成油の方が良いですか?
エステル系オイルに添加しても大丈夫ですか?
と言う質問が多数寄せられます。

一般に鉱物油=安価で性能が低い・又は
単一的な性能しか無く融通が利かないオイル。
逆に化学合成油とは鉱物油の欠点を克服する為に
開発された物。と言う観念が広く浸透しているようです。
一昔前の鉱物油なら正にその通りでしたが
今の鉱物油は精製技術の進化により昔程馬鹿には出来ない
製品になっています。

では、鉱物油を超える性能を持つ化学合成油の
卓越した性能とは何なのか?
漠然と、化学合成油=高価=高性能。と言う解釈だけでは
金の浪費と言わざるを得ないでしょう。

何故ならば、使う側のニーズと照らし合わせると
鉱物油で十分事足りる場合でも、訳が解らぬままに
化学合成油を使用して居ると言う場合が多く
それでは宝の持ち腐れになってしまいますし
店員や企業の宣伝に踊らされるままに不要な
出費を重ねるのは愚か極まりない行為です。

まぁ、別に化学合成油を使う必要が有ろうが無かろうが
油種を選ぶのは個人の嗜好の問題ですし、何も問題有りませんが
金が無いから仕方なく鉱物油で我慢。
金が有るから化学合成油を使用する。と言う選び方は
「木を見て森を見ず」と言う言葉の例え通りになってしまいます。

まず、近年、潤滑油に対して要求される特性が
極めて多様・かつ厳しい内容になり
従来の鉱物油ではカバー出来ない状況になる場合も多く
この問題を克服する為に様々な組成の化学合成油が開発されています。

従来の鉱物油ではカバー出来ない状況とは
一体どんな状況を言うのか?

現在の車は電子制御・ターボ等の過給器・
三菱GDI・トヨタD4エンジンに代表されるような
直噴エンジン等を採用する事によりエンジン性能が
飛躍的に高性能化していますが、その性能を十分に
生かし切るには潤滑油の粘度指数を高める事が重要です。

粘度指数を高める為には、基油から潤滑油として
不要な成分を極力取り除く必要があるのですが
天然資源である鉱物油では取り除くと言っても限界があります。

それに比べて、目的に合わせて合成する事が出来る化学合成油は
不純物を含まない成分を選択して合成すれば当然鉱物油より
優れた物を簡単に作る事が出来る訳です。

まず、この点が優れた点の一つです。

更に、低粘度・低フリクション性能がもたらす省燃費性能。
熱による酸化に強く、酸化劣化物・沈殿物の生成が少ない点。
ワックス分を含まないので低温始動性が良い点。
環境問題を配慮して装着された排ガス対策装置への適応性
(低蒸発性・腐食の原因になるリン分添加率の調整が出来る点)
エンジンオイルの長寿命化
(酸化安定性の向上・低オイル消費・高温デポジット生成防止)
等々、ユーザーが欲しがる性能を盛り込んでいくと
鉱物油単体では荷が重すぎると言う事になります。

今回はざっと、流してみましたが次回では
化学合成油と一口に言っても一体どのような種類があるのか?
と言う話をさせて頂こうと思います。