さて、前回では無茶苦茶に話が脱線した末に
投げっぱなしのような終わり方で大変失礼いたしました。

前号の途中で述べていた添加剤を混ぜると言う方法ですが
実は車両用オイルには様々な添加剤が使用されているので
混ぜる事自体は別に悪い事では有りません。
以前も少し触れましたが逆に添加剤の成分を単体で使用した場合
その成分が持つ短所をカバーする事が
出来ないと言う大きな問題が発生します。

弊社製品のマッハ1の主成分がZnDTP
(ジアルキルジチオリン酸亜鉛)なのですが、
これは成分に亜鉛を含む為、作用後にスラッジとなり
各部に堆積してしまいます。
また、リンも含まれる為、排気ガス浄化触媒を腐食させます。

このように単体で使用すると効果を発揮した後にゴミになり
その処理をどうするのか?と言う問題が発生する成分が
沢山あります。

これを防ぐ為に他の添加剤を含有させている訳ですが
これが一番重要で、これが無ければマッハ1が掲げる各性能を
発現させる事が出来ない非常に重要な物です。

オイル添加剤というと主成分が云々・・と言う話になりがちですが
ハッキリ言って主成分など、別に特別重要でも無い訳で
このように公言する事も構わない訳です。

料理でもそうですが○○ラーメンの豚骨スープは絶品だ。
と言う話が有ると仮定しましょう。
そのスープの主原料は何だ?と言われれば豚骨に他なりませんが
じゃあ豚骨を使って同じスープを作れ。
と言われると途端に難しくなり、ある程度似た味は出来るが
本家とは違う味になる。豚骨の他に隠し味として何かを入れ、
それがアクセントとして大きな変化を生む。と言う好例です。

オイル添加剤も同じで、主成分は解ったが、ほんの少し入れる
添加剤が解らない。これが一番重要な点で、それを教えると
じゃあ明日からウチも同じ物を作りますよ。と言う事になる訳です。

まぁ、同じ物を作っても結局、本家本元と同じ位の規模しか売れない訳で
それを後発メーカーが見て魅力的な市場だと思うか?と言えば
後発で全く同じ製品を作って少ないパイを喰い合って利鞘を奪い合うより
聞いた事もない成分を含有している添加剤を発売して
新分野を開拓する方が儲かる可能性が高いと算段する訳です。

しかし、全く無名の成分で有益な効能を発揮する物など
そう簡単には見つからず、じゃあ適当に流行っている言葉を冠して
製品を作ろうか。どうせ素人相手に売りつけるんだから解る訳ないし
分析やテストする機材も持ってないからなぁ。ヒッヒッヒ。
と言う感じで個人ユーザーはカモだと言わんばかりの
メーカーが参入する訳です。

まぁ、それはさておき添加剤を混ぜるのは良いと書きましたが
混ぜる添加剤が本当に確かな物である。と言う事が大前提です。

当たり前ですが市販の添加剤を無茶苦茶に混ぜれば良い物が出来る。
と言う物でもありませんし、特別な溶媒が無ければ攪拌しても
時間の経過と共に分離してしまう成分も沢山あります。

また、その溶媒がパッキン等の樹脂類に影響を及ぼさないか?
と言うのも問題になります。○○を入れたらオイル漏れを起こした。
と言う話を聞いた事があると思いますがその要因の一つが溶媒です。

溶媒の話は次号以降に譲り冒頭の話に戻りますが
ユーザー側の見解として一分野に特化した製品を
組み合わせて使ったら各分野を高い次元でカバー出来る
夢の添加剤が現れるかも知れない。と言う理屈も解ります。

激烈な出力向上を実現できる添加剤と各部を保護して
長寿命化が図れる添加剤を混合して使えば鬼に金棒じゃないか。
コストの面と採算性の問題で市場に投入するのが難しいから
発売しないだけじゃないのか?

俺は車には金を惜しまないからコストや採算性なんて気にしないぜ。
実際、俺みたいな奴は結構世の中に居る筈だ。
よし、俺がまず実験して上手く行けば製品化を前提に考えよう。
今まで実現出来なかった夢の添加剤が出来れば
必ず買う奴はいるだろうし、そうなれば俺も実業家だな。ゲッヘッヘ。
と言う思念で動く方が居るか否かは解りませんが
これは大変素晴らしい事です。

商売を始める人間には少なからずこの野心が無ければ話になりません。

そのような商魂たくましいお方に大変有益な話を
次号でお話しさせて頂きます。