前回の話に戻りますがオイル添加剤同士を混ぜると
素晴らしい性能が発揮出来るんじゃないか?
と言う要求は今も根強く有ります。

激烈な出力向上を実現できる添加剤と各部を保護して
長寿命化が図れる添加剤を混合して使えば鬼に金棒じゃないか。
コストの面と採算性の問題で市場に投入するのが難しいから
発売しないだけじゃないのか?

俺は車には金を惜しまないからコストや採算性なんて気にしないぜ。
実際、俺みたいな奴は結構世の中に居る筈だ。
よし、俺がまず実験して上手く行けば製品化を前提に考えよう。
今まで実現出来なかった夢の添加剤が出来れば
必ず買う奴はいるだろうし、そうなれば俺も実業家だな。ゲッヘッヘ。
と言う思念で動く方が居るか否かは解りませんが
これは大変素晴らしい事です。

商売を始める人間には、この野心が無ければ話になりません。

此処までが前回での内容です。

実際、私もこの商売をする時はそう思っていました。
こんな素晴らしい商品が有るんだから誰か買うだろう。
そうなりゃ俺も実業家だなぁ。ヒッヒッヒ。と言う処ですかね。

まぁ、実際はもっと真っ当な商売が出来る市場があるだろうに
何でこんな胡散臭い業界で商売しているんだ?
クソ眉唾業者のおかげで何時まで経っても偏見の目で見られるし・・。
クソったれが。
と、気を休めようと努めて居る時に限ってやり場のない怒りが
噴出する散々な業界だった訳ですが、そんな良い話はさておき
適当に混ぜた添加剤で思惑通り何らかの効果が出たとします。

おぉ、凄い効果だ。素晴らしい!しかし一体どの添加剤の効果なんだ?
混合しないと発揮しない効果なのか単品で発揮する効果なのかも解らない。
混合した製品の成分が少しだけ入っていれば発揮するのか?
偶然混合した割合がベストな割合で発揮したのか?
量に比例して性能が上がるかも知れないし、一定量以上入れても変化せず
無駄になるだけかも知れない。

効果は出ているので夢の添加剤という当初の目標は達成した訳ですが
経営者としては生産コストを圧縮する事は重要ですし不要な量の成分は
節減する事も今後の性能向上の事も考えると作用原理の解明は急務です。

まぁ、市販添加剤を混ぜて売り出す人は居ないと思いますのでユーザーレベルで
個人的に使う場合、混ぜて使って車が壊れても自己責任だと割り切って使うなら
どうぞご自由に。

と言う事になるのですが車は高価である場合が殆どです。
ポンコツ車に入れて評価を云々と言うのなら話は別ですが
普通の人は壊れても構わないポンコツなど所有していません。

自己責任は先刻承知だけど、ネット上で他人の軽妙な書き込み等を見て
なんか凄そうだな。でも自分の車が変になると困る。 よし!親父の車で秘密裏に実験だ!
と、足取りも軽く ニヤニヤしながら実行し、 物の見事に車が故障!
秘密裏だと思っていたのは自分だけで 実は二階から親父に悪行を全て目撃されており 、
『テメェ!俺の車に何を入れやがった?』 と詰め寄られ、
ネットを参照し適当に混ぜた添加剤です。とは口が裂けても言えず
市販の添加剤だよ。ほらコレだ。と添加剤のボトルを差し出すのが精一杯。
と言う面白い状況が起こらないとは限りません。

そんな極端な例はさておき問題が起きた際に 何処に責任を追求すれば良いのか?
と言うのも忘れてはなりません。
添加剤業者は混ぜて使って良いとは明記していない筈ですし
混ぜて使って問題が起きたと報告を受けても自社製品が原因で起きた
トラブルなのか他社製品の成分で起きたトラブルなのか、
混合する事で起こるトラブルなのかも解りません。
そもそも、何で他社製品を混ぜるんだ?と言う事になりますし
添加剤業者は故障の原因追及に力を貸す事は無いでしょう。

これも当然の話で、自社製品が問題かも知れないが違うかも知れない。
こちらが想定する使用法(適正使用法)で起こった問題には当然
対応せざるを得ないが訳の分からない使用法で起こった問題には
対応できない。と言うのは何処の企業でも同じです。

そこまでのリスクを抱えて性能向上を望むのであれば
止めませんが敢えて敢行するほど飛躍的に性能が向上する事も
まぁ無いでしょう。

と、言うのも添加剤を開発している者は腐っても専門家ですし
ユーザーが私財で暗中模索と試行錯誤を繰り返して実地試験を行うのは
個人の自由ですが、やはり成分毎の性質等を把握している専門家が
可能性を秘めている成分同士を選択してテストする方が
遙かに効率的です。

瓢箪から駒という可能性は化学の分野ですから大いに有りますが、
万が一の場合、安全性が確保できない路上で
実地試験を行うのは他人の迷惑にも成りますので読者の方は
素直に添加剤を混合して使用するのは止めて下さい。

世の中には面白い方が居られる物で削岩機に使用するオイルを
添加剤として自分の車に投入する方が居られるようですが
私有地で実地試験をするなら構いませんが他人の車の運行にまで損害を
及ぼす可能性がある一般道でこのような行動を行うのは大変危険ですので
皆さんはくれぐれも真似をしないようにお願い申し上げます。